敬称略、肩書きは掲載当時のものです。
令和3年5月発行:第115号
女神信仰の背景に南アジアの基層文化が影響か
インドの中世社会をヒンドゥー教の信仰と神話から読み解く
横地優子(京都大学大学院文学研究科教授)
文献の例が少なく想像の範囲になりますが、テラコッタ等の古い女神像から考えると、ヒンドゥー教に統合されていった女神信仰の背景には、南アジアの基層文化の影響が考えられます。その一例として多臂多面像があります。女神信仰に由来する「水牛のアスラを殺す女神」などに初期の多臂多面が見られることは、この表現形態がインドの基層文化に由来することを示唆しています。インド・ヨーロッパ語族にも同様の伝統があった可能性もありますし、神像制作の起源にはヘレニズム文化の影響も推測されるため、必ずしも南アジアの基層文化の影響だけとは断言できませんが、それでも他ではみられない多様な造形がヒンドゥー美術には沢山ありますね。
一面を飾った方々。
敬称略、肩書きは掲載当時のものです。
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