石上善應(淑徳短期大学学長)
今、老人自身が、自分の臨終は安らかにあれと願い、安楽に死ねることを念願する風潮があるんです。医学の進歩によって長寿大国になった我が国ですが、「ぽっくり信仰」にすがる人々が増えていることを我々は厳しい思いを込めて見続けなければなりません。俳人の小林一茶は「ぽっくりと死ぬが上手な仏哉」と詠っています。他人に迷惑をかけずに、静かに死んでいきたい。それが永遠に変わらぬ、人間の持ち続けている心の安らぎへの願いなのでしょうね。