田上太秀(駒澤大学教授)
釈尊が私どもに残されたものは、ヨーガはどこまでも個人的なもので、自分の世界をつきつめていく世界だ。そこからは多くの生類のために、というような仏教的なものは出てこないのです。そこで釈尊は、自分をそこから降ろしてきて、世の中を観察し、いったい自分の存在はどういうものなのか観察したんです。同時に、多くのものたちのためになることは何だろうか、そういうことを観察した。それが仏教の禅だと思いますね。